極微量ハロゲン地球化学の開拓


 周期律表で希ガス元素のすぐ隣にあるハロゲン元素(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)は、原子炉での中性子照射により特定の希ガス同位体に変換されます。この希ガス同位体を、超高感度の希ガス質量分析計で検出することによって、ハロゲン元素の組成や、同様に希ガスに変換されるカリウム、カルシウム、バリウム、ウランなどの組成を、他の手法に比べてはるかに高い感度で求めることができます(これを応用したのが 40Ar-39Ar 法や I-Xe 法といった年代測定法です)。
 2006年6月から一年間、イギリスのマンチェスター大学に留学して、R.Burgess 博士のもとで、この手法を学びました。我々のグループにも、同様の分析ができる質量分析計がありますので、現在はこの手法を日本でも実用化し、希ガスとハロゲン元素を組み合わせた新しい地球化学的手法を、マントル起源物質に応用していこうとしています。