西南日本ホットスポットの起源
北西九州アルカリ玄武岩・マントル捕獲岩の希ガス


 沈み込み帯である日本列島の、特に西南日本の背弧側(沈み込みから遠い地域)には沈み込みと関係のない火山活動が起り、アルカリ玄武岩と呼ばれる火山岩が大規模に噴出しています。
 これは西南日本ホットスポットと呼ばれていて、アルカリ玄武岩の微量元素組成などがハワイなどのホットスポットの火山岩と酷似していること、 またその地域の地下に沈み込んだプレートが存在しないことから、その起源はマントル深部からの上昇流(プルーム)であるという説が唱えられていますが、決定的な証拠はまだありません。
 希ガスはマントルの各部分で特異的な同位体組成を示しますので、これを手がかりにプルームの上昇源や沈み込みとの関連を調べることができます。そこで北西九州のアルカリ玄武岩と、それらに含まれるマントル捕獲岩(マントルを構成する岩石が融けずに地表にもたらされたもの)の希ガス同位体組成を分析しました。

Sumino et al. (2000), Geophysical Research Letters, , 27, 1211-1214.

試料採取地map
☆印がアルカリ玄武岩の採取地。マントル捕獲岩は唐津市高島で採取しました。

マントル捕獲岩
マントル捕獲岩(ダナイト)。これを構成するかんらん石に含まれる希ガスを測定しました。

北西九州のHe・Ar同位体比 試料の3He/4He比と40Ar/36Ar比。
グレーの線は大気と上部マントル、プルーム成分による混合曲線を示しています。大気、大陸地殻、上部マントル成分の他に、 明らかに下部マントル起源であることを示す端成分(プルーム)が見られます。このことから、西南日本の地下に下部マントルを 上昇源とするプルームが存在していたことが明らかになりました。


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